脱力という感覚の理解への一歩

レッスン中明らかに余計な力が入っていると分かる生徒には、

「右腕を脱力してみて」

と言い、生徒の右腕を掴んでパッと放してみます。そうすると、ほとんどの生徒は空中に右腕がとどまったままの状態になります。

 

次に、

「今からあなたは死体です。死体の右腕にしてね」

と言い、先ほどと同じように右腕を掴んでパッと放してみます。するとどうでしょう。今度は、右腕が勢いよく下にダランと垂れ下がるのです。これが脱力の感覚だよとすぐに伝えます。

まだピアノを始めて間もない生徒たちは、脱力という言葉や感覚を把握していないため、意識的に脱力するのが難しいのです。だから、生徒がイメージできる範囲で感覚を一致させるという作業はとても重要です。

 

いかに分かりやすく少しクスッとなるような言葉選びができるかというところは、常に慎重に取り組んでいるポイントのひとつです。言葉がけひとつで、新しい感覚を一瞬で身につけることが可能となる、そんな瞬間を目の当たりにする日々のレッスンには感動がつまっています。