耳の使い方

「音はどこから鳴っていると思いますか?」

こう質問すると、多くの生徒は鍵盤のあたりを指さします。

そんな時、私は「耳を高いところにおいてきてごらん。」と伝えるようにしています。

耳の使い方にはテクニックが必要で、これを理解すると音を遠近感や奥行き、立体感を感じながら聴くことができるようになります。

例えば、メロディーと伴奏のバランスを気を付けるときに、メロディーをよく聴くことだけに意識を傾けると伴奏がおろそかになり、また伴奏をよく聴くことだけに意識を傾けてもメロディーがおろそかになります。

これだと、その場面においてはバランスが整ったとしてもあくまで一過性のものでしかなく、「聴く」という感覚ではありません。

大切なのは、何かに意識を集中させるのではなく、全体に意識を張り巡らせたまま距離感・遠近感を感じることなのです。

単に音の強弱でバランスをとる、という感覚を一度なくしてみましょう。

例えば、メロディーはたっぷりフォルテで伴奏はピアノで、という考え方ではなく、メロディーは手前で誰かがこちらに向かって話しかけていて、伴奏は少し離れたところでこちらに向かって優しく話しかけている、と捉えてみます。

少し、イメージが掴みやすくなりませんか?

このように意識するだけで音楽は奥行きを持ち、響きは色を持ち始めます。そして、平面的な強弱ではなく、遠近感や響きの量で音楽を作ることが可能になってくるのです。

ロシアピアニズム・ロシアンピアニズムの響きの多様性は、この耳の使いを知って初めて演奏に反映されるのです。

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